株式会社Bizcastの渡邉 拓さんの学生時代から現在のキャリアをインタビュー
株式会社Bizcast 代表取締役 渡邉 拓
慶應義塾大学大学院 理工学研究科卒。専門は動画像処理・画像工学・VR。在学中は原田、山下と学生ベンチャーの立ち上げを行う。また、在学中よりベンチャー企業の社内新規事業の責任者として、日本初のマンション向け電気自動車カーシェアリング事業の立ち上げとグロースに貢献。3年で大手企業に事業売却となり、2014年7月には自身の会社としてBizcastを創業。元々の研究対象だった動画分野、そして友人がYouTuberだったこともありBitStarの事業の立ち上げに至る。
現在のキャリアについて
現在の事業や業務内容について教えてください
主な事業は、 企業とYouTuberを中心としたインフルエンサーをマッチングするプラットフォームの運営です。スマートフォンが主流となった現代において、発信力のある個人の人々が活躍できるようなインフラを作っていこうというビジョンの元、「BitStar」というサービスを運営しています。
大学卒業後の経歴は?
新卒で株式会社オアシスソリューションというベンチャー企業に入社しました。そこで社内新規事業担当をしておりました。具体的には、日本初マンション向けの電気自動車カーシェアリング事業の立ち上げです。1人でレンタカー業の申請や、自動車メーカー、商社、ディーラーへの対応などから、システム面では、無人で借りることができるようソフトからハードの決済まで担当していました。さらにマンションへ導入するにあたっての建築土木から、電気工事の設計や監督までも行いました。そして営業も新規顧客から既存顧客まで幅広く行っていました。そうして1人から数名の組織にまで立ち上げていき、3年ほどで大手に売却という形まで経験しました。
そして株式会社オアシスソリューションから独立して自分で事業をやろうと思い立ちました。1年ほど事業の構想をし、その後Bizcastという会社を立ち上げました。2015年9月に「Bitstar」のウェブサイトをリリースして、今に至ります。
なぜ今の職業を選択されたかについて教えて下さい
元々大学時代は自分で事業をしていました。その時のメンターの方にシリコンバレーに行くことを勧められ、事業を畳んだ後にシリコンバレーに行くことにしました。大学の時にしていた事業は、ある程度面白いことをしてバイト以上に稼げればいいかなという思いでしていました。しかし、シリコンバレーに行ってみると、今現状の世の中について、そこでの課題について、それに対し自分達がこういうことをすることにより、世の中こういう風に変わっていくというような大きなビジョンを掲げている方が非常に多くいて、驚きました。
その中でも1番すごいと思ったのは、テスラモーターズのイーロンマスク氏が2008年頃にロードスターというスポーツカータイプの電気自動車を発売したことです。地球規模の課題解決と、それによって新しい電気自動車の産業を作っていくということのスケールの大きさに驚きました。それに影響を受け、日本の電気自動車も何かしら展開ができないかなというところで、その当時の株式会社オアシスソリューションの社長が、ちょうどマンション向けにサービス展開している中で新規事業の担当者を探していました。そこでマンションでの電気自動車のカーシェアリングを提案し、株式会社オアシスソリューションへ新卒で入社しました。
Bizcastの立ち上げに関しては、電気自動車カーシェアリング事業の売却後、また0から事業をするのであれば自ら起業して0から事業をしようと思い設立したのがきっかけです。元々大学時代に動画やVR、画像動画VRを専攻しており、専門の研究をしていたので、その過程でメディアにコンテンツを提供してくれるYouTuberに知り合いなどがいました。YouTuberの悩みは、再生数においてというより、どちらかと言うとマネタイズをしていくということが結構課題であるということでした。それならと、始めはクライアントを紹介するといった形で、YouTuberとクライアントのマッチングをアナログでやっていたことがきっかけでした。少しづつやっていると、より多くの人々がマッチングを求めているのと、コンテンツ産業全体で広く考えれば、今までのタレントとは異なるネットのタレントに最適な新しいエコシステムを作ることで産業レベルの大きなことができるのではないかと感じました。自分が事業をやる時にはビジネスを通じて新しい産業、新しい文化を創りたいというミッションにもマッチしたのでこの事業をやることにしました。
学生時代について
どんな科目を専攻されていましたか?
理工学部の物理情報工学科です。
物理情報工学科は応用物理の学科なので、基本的には幅広く様々なことを学んでいました。電気関係、機械関係、プログラミング関係など、一通りの基本的な知識をどう応用していくかということを学んでいました。教科書で学んだことは別に忘れても構わないから、何かしたいと思った時、例えば何の教科書のどこをめくれば知りたいことに関することが分かるのかということが分かれば良いと教わりました。この教えは今にも非常に生きているなと思います。
サークルや課外活動はしていましたか?
学生時代のサークルは、大学3年まで慶應キッカーズというサッカーサークルにいました。国内の大会やアマチュアの大会で3位をとるなど、慶応の中では1番強いサッカーサークルで、日本一目指してやっていました。私自身はゴールキーパーをしていました。
サッカーサークルを辞め引退した後は、大学院の研究をしつつ、自分で事業をしていました。事業を立ち上げることは、アルバイト以上に学びにもなり面白いし、いいことだと思ってしていました。
当時は、ガラケー時代に海外旅行者が海外向けの携帯を格安でレンタルできるサービスを提供していました。あともう一つ、慶応ビジネスコンテストで出した事業は、モバイルと地域に特化したポータルサイトです。ユーザーはモバイルをサイトにかざすとクーポンサービスがその地域で受けられるといったサービスをしていました。当時モバイルに特化した地域のサービスがありませんでした。お店側からすると、例えば雨の日だったら雨の日で割引しますといったリアルタイム配信ができるというメリットがあります。それでお店側は配信する都度課金するといったサービスをしていました。当時ぐるなび、ホットペッパーは、月に数十万などの掲載料がかかっていたので、私たちのサービスを無料で開放して、広告を打ちたい時に打てるサービスをしていました。
課外活動に関しては、自らの事業での関わりの延長線上で知り合った仲間で起業サークルをつくっていました。実際それが今のボードメンバーにも繋がっていたりしています。CEO、CTOは元々学生時代一緒に事業やっていたメンバーなので、サークルはやっていて良かったなと思います。
どんなバイトやインターンをしていましたか?
アルバイトは家庭教師、飲食店のキッチン、引越しなど、色々していました。あとは採用コンサルのアシスタントのバイトもしていました。
インターンは、1週間の新規事業立案インターンに参加していました。当時1週間のインターンだったのですが、私たちはやっている事業や課題などがあり、4日間で終わらせなければなりませんでした。そこで特別に特例で、土日も参加せずに4日間で終わらせました。そして、ファイナリストまで残り、プレゼン自体もかなり上手くいきました。その後、事業化も色々検討するところまでいきました。その時に出会った人で、今はIoTの新規事業を立ち上げていて現在仕事で関わっている人もいます。当時私が大学院1年生の時に、彼が大学2年生で凄く優秀だなと思い繋がりましたが、その繋がりが今に活きているというのは凄く良かったなと思います。
学生時代にやっていて良かったと感じることはなんですか?
やはり自分で事業をした経験や、アクションを起こしたことは凄く良かったなと思っています。結局大学時代には仲間作りをした方がいいと思います。同じような志を持つ人達の仲間を集めるということは凄く重要なのではないかなと今になって思います。学生時代はあんまり意識していませんでしたが、今のボードメンバーも当時の事業を一緒にやっていたメンバーが集まっていたり、起業家の横の繋がりもその当時に何かしら、今は全く違う事業でも、その時にやっていた人達が今になってある程度資金調達が上手くいってる人達が出ていたりするので、その当時からの繋がりは凄く重要だなと思っています。
学生時代にやっておけばよかった感じることはなんですか?
僕は元々多分生まれ変わっても起業していたと思います。もっと早めに自分で事業を立ち上げたり、投資家の方々との関わりもそうですし、エコシステムにも早めに触れられる機会があれば全然違ったかなと思っています。それまでずっとサッカー一筋でしたが、サッカー以外のことにおいては努力する方向が分散していて、よく分からないけど英語勉強しておいたり、よく分からないけどファイナンスを学んでいました。ですが、もう少し目的や事業を作れるようなエコシステムをもっと早い段階で触れていれば、努力する方向性が変わったのではないかなと思います。もっと早めに自分で学生時代に、学生中にもっと事業を成功させられたのではないかなと思ったりします。
就職活動について
就職活動の取り組み方を教えてください
就活中の取り組み方は、自分で事業ができるか、スタートアップの環境のどちらかかなと思っていて、2択の中でできれば自分でやりたいという意思で方向性を模索していました。スタートアップの内定ももらいつつ、自分で事業を立ち上げることも考えていました。自分で事業ができなかった場合は、スタートアップで働けばいいなと思っていました。
就活中にやっていて良かったと感じることはなんですか?
就活でやっていて良かったなと思うのは、就活の取り組み方にも関わってきますが、就活の目的で何かをやるということ自体は無駄だなと思っています。自分の生き方に対してコミットしていき、自分の目指していることや、志など、そういうところにコミットしていった結果の就活である必要があります。そういうことが意識して考えられていたことです。
惜しいと感じることはなんですか?
惜しいと感じていることは特にないです。的を絞って数社しか受けていませんが、株式会社オアシスソリューションで働こうかな、それか自分でやろうかなぐらいの、気持ちで就活はしていました。就活という枠にはまってしまうと良くないと思います。就活自体を自分のキャリア選択と捉えるといいと思います。やはり生き方をよく考えた方がいいです。
最後に就活生へのアドバイスをお願いします
就活がゴールにならなければいいと思います。なので、就活のために何かするというのはバカらしいので、就活があるからやるというわけではなく、あくまできっかけとして捉え、将来どうなりたいのかというところを掘り下げていく必要があります。自分の現状と将来があって、そのベクトルの延長線上に会社があると思っていて、そのためにはやはりベクトルの方向がちゃんとしっかりしていないとぶれてしまいます。様々な規模の企業を受けてしまったり、様々な業界の企業を受けてしまったりするので、まず将来どうなりたいのかというところを明確にすることが凄く大事だと思います。